※この記事は、あくまで私個人の感想・考えをもとに書いています。作品の感じ方には個人差がありますので、その点をご理解いただいたうえでお読みください。
猫と暮らしていると、こちらをじっと見つめてくる瞬間があります。
何かを訴えているような、でも何も言わない。
「ご飯ですか?」
「遊びたいんですか?」
「何か用ですか?」
こちらが勝手に猫の気持ちを推測していると、いつの間にか人間のほうが猫の要求に従っている。
まさに「ネコ様の圧」です。
今回ご紹介する『今日もネコ様の圧が強い』は、うぐいす歌子さんによるコミックエッセイ。
SNSで人気を集めた猫漫画「キジネコ様」をもとに、キジネコ様とクロネコ様、そして飼い主の金之助とスミレの日常を描いた作品です。
私が特に面白いと思ったのは、単に「猫がかわいい」という作品ではなく、「猫から見た人間」という視点で日常を描いているところです。
猫への深い観察眼と、それを絶妙な言葉に変えるセンスが面白い。
猫好きなら、
「そうそう!猫って、こんな感じ!」
と、思わず笑ってしまう一冊です。


『今日もネコ様の圧が強い』基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 今日もネコ様の圧が強い |
| 著者 | うぐいす歌子 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2025年1月8日 |
| 判型 | A5判 |
| ページ数 | 144ページ |
| ISBN | 978-4-04-683987-9 |
| 定価 | 1,375円(税込) |
| 内容 | コミックエッセイ・猫漫画 |
『今日もネコ様の圧が強い』は、うぐいす歌子さんによる猫漫画です。
SNSで人気を集めた「キジネコ様」をもとに、超マイペースなキジネコ様とクロネコ様、そして飼い主の金之助とスミレの日常が描かれています。
書籍版には、SNSで発表された内容だけでなく、本でしか読めない長編エピソードやネコ様の裏話など、描き下ろし70ページも収録されています。
目次は、
・第一章「我が家のネコ様」
・第二章「ネコ様のある日」
・第三章「ネコ様と人間」
・長編描き下ろし「キジネコ様がいなくなった日」
という構成です。
※価格・在庫などは購入時点で変更されている場合があります。
この漫画の最大の魅力は「完全ネコ目線」
この作品を読んで、私が一番感心したのが徹底した猫目線です。
普通の猫漫画なら、
「猫がこんなことをした」
「猫がかわいい」
「飼い主が猫に振り回された」
という、人間側から見た描写になりがちです。
ところが、この作品では発想が逆。
「猫から見ると、人間はどう見えているのか?」
という視点から、猫と人間の日常が描かれています。
これが実に面白い。
例えば、人間にとっては「今日は睡眠時間が少なかった」というだけの出来事でも、猫側から見ると「そんなに寝なくて、人間は大丈夫なのか?」という驚きになる。
このように、猫にとっては当たり前の感覚を基準にして人間を見ることで、普段の何気ない出来事が一気に面白くなります。
単純に「猫が人間に振り回されている」のではありません。
むしろ、
「人間のほうが、猫の世界に合わせている」
ように見えてくる。
この視点の逆転こそ、本作の大きな魅力だと私は思います。
「ニチヨウ……ビ……?」という猫の無関心が面白い
もう一つ、この作品らしさを感じるのが、猫から見た人間社会への無関心さです。
人間には、
「平日」
「休日」
「日曜日」
「仕事」
など、さまざまな事情があります。
でも、作品の中の猫たちにとっては、そんな人間側の都合はほとんど関係ありません。
人間が「今日は日曜日だから、もう少し寝たい」と思っていても、猫からすれば、
「それは自分たちに何の関係があるの?」
というわけです。
お腹が空いた。
起きてほしい。
構ってほしい。
猫側の都合は、いたってシンプル。
もちろん、これは実際の猫の心理を科学的に説明しているわけではありません。
あくまで、「もし猫が人間を観察していたら、こんなふうに思っているのでは?」という漫画ならではの想像です。
だからこそ面白い。
猫を「わがまま」と片付けるのではなく、人間の都合に対する見事なまでの無関心さとして描いているところに、作者のセンスを感じます。
「ネコ様の圧」というタイトルも秀逸
そもそも「圧」という言葉が、猫と暮らしたことのある人には非常によく分かると思います。
猫は大声で命令する必要がありません。
ただ、こちらを見る。
じっと見る。
さらに見る。
何も言わない。
なのに人間は、
「……何ですか?」
「ご飯ですか?」
「はいはい、分かりました」
となってしまう。
猫は何も言っていないのに、人間が勝手に動き始める。
これこそ、まさに「圧」です。
猫の無言の要求と、それに抗えない人間。
それを「ネコ様の圧」という言葉で表現してしまうタイトルが、作品の内容を非常によく表していると思います。
作者の「観察→分析→言語化」がすごい
私がこの作品で特に評価したいのは、うぐいす歌子さんの観察力です。
猫と暮らしていると、毎日のように面白い行動を目にします。
じっとこちらを見る。
突然走り出す。
人間が忙しいときに限って近寄ってくる。
こちらが寝ようとすると起こす。
逆に、こちらが構ってほしいときには無視する。
こうした出来事は、猫と暮らしていれば珍しくありません。
でも、それを見て終わるのではなく、
「このとき猫は、どんなふうに感じているように見えるのか?」
と考える。
そして、それを猫側の言葉として漫画にする。
この、
観察→分析→言語化
の流れが非常に秀逸だと思います。
単なる「猫あるある」ではなく、猫の仕草から心情を想像し、それを人間にも分かる形で笑いに変えている。
だからこそ、
「分かる!」
だけではなく、
「その発想はなかった!」
という面白さがあります。
猫を心から愛しているからこその「肯定」
もう一つ好きなのが、猫の自由さを否定していないところです。
猫は人間の都合通りには動きません。
「今それをする?」
ということもあります。
でも、それを、
「猫ってわがままだよね」
だけで終わらせない。
むしろ、
「猫なんだから、それでいい」
という肯定が、この作品にはあるように私は感じました。
人間から見れば困った行動でも、猫からすれば当然の行動なのかもしれない。
だから読んでいて、
「猫に振り回されて大変そう」
と思うより、
「分かる。猫って、そういうところがいいんだよな」
と思ってしまう。
猫のふてぶてしさ、マイペースさ、無関心さまで含めて楽しんでいる。
そこが、この作品の大きな魅力だと思います。
猫を「見る側」から「見られる側」へ
この作品を読んでいると、普段の猫との暮らしまで少し違って見えてきます。
私たちは普通、
「人間が猫を飼っている」
と思っています。
ご飯をあげる。
トイレを掃除する。
遊んであげる。
健康を管理する。
でも、猫側から見ればどうでしょう。
もしかすると、
「人間が我々の生活を支えている」
くらいに思っているのかもしれません。
そう考えると、
「猫に起こされた」
という出来事も、
「猫様が人間を起こしてくださった」
に変わります。
「ご飯を催促された」ではなく、
「食事の提供を命じられた」。
同じ日常なのに、視点を変えるだけで一気に面白くなる。
この視点の転換こそ、本作の一番の魅力だと私は思います。
こんな人におすすめ
猫が好きな人
もちろん一番おすすめです。
猫のかわいさだけではなく、猫のマイペースさや「圧」まで含めて好きな人には特におすすめ。
猫と暮らしている人
「これ、うちの猫もやる!」
という場面がきっと見つかるはず。
自分の猫と比較しながら読むと、さらに楽しめると思います。
猫漫画・コミックエッセイが好きな人
単純な癒やし系ではなく、猫と人間の価値観のズレを笑える猫漫画を探している人に向いています。
日常の小さな出来事を面白がれる人
大きな事件が次々に起こる漫画ではありません。
普段なら見過ごしてしまう猫との日常を、「猫目線」に変えて楽しむ作品です。
逆に、こんな人にはおすすめしません
猫の写真やかわいさだけを楽しみたい人
本作は写真集ではなく、猫と人間の関係をコミカルに描いた漫画です。
「かわいい猫を眺めたい」という目的よりも、猫と人間のやり取りを楽しみたい人向けです。
猫の心理を科学的に知りたい人
猫の行動を科学的・医学的に解説する本ではありません。
「猫なら、こんなことを考えていそう」という想像を漫画として楽しむ作品です。
シリアスで重厚なストーリーを求めている人
基本的には日常系のコミカルな猫漫画なので、大きなドラマや重厚な物語を期待する人には向いていません。
『今日もネコ様の圧が強い』FAQ
Q. 猫を飼っていなくても楽しめますか?
はい。
猫との暮らしを知らなくても、猫と人間のすれ違いを描いたコミカルな漫画として楽しめます。
もちろん、猫と暮らしている人なら「あるある」と感じる場面も多く、より身近に感じられると思います。
Q. 実際の猫の心理を解説する本ですか?
いいえ。
科学的な猫の行動解説ではありません。
「猫から見ると、人間はどう見えているのか?」という発想を、コミカルな漫画として楽しむ作品です。
Q. どんな猫が登場しますか?
キジネコ様とクロネコ様という2匹の猫が登場します。
飼い主の金之助とスミレとの日常を中心に、猫と人間のすれ違いが描かれています。
Q. 描き下ろしはありますか?
はい。
書籍版には、SNS掲載作品だけではなく、描き下ろし70ページが収録されています。
公式の目次には、長編描き下ろしとして「キジネコ様がいなくなった日」が掲載されています。
Q. 続編はありますか?
はい。
『今日もネコ様の圧が強い2』が2026年1月15日に発売されています。
2巻では、キジネコ様とクロネコ様に加えて、新米の子ネコ様も登場。
さらにパワーアップしたネコ様たちと、飼い主の金之助とスミレの日常が描かれています。
1巻を楽しめた方なら、2巻も続けて読んでみるとよいと思います。
まとめ|猫様の「圧」に今日も負ける
『今日もネコ様の圧が強い』の魅力は、猫のかわいさだけではありません。
「猫から見ると、人間はどう見えているのか?」
という視点が、とにかく面白い。
人間には人間の都合がある。
でも猫には猫の都合がある。
「今日は日曜日だから」
「もう少し寝たい」
「今は忙しい」
そんな人間の事情など、猫からすれば知ったことではない。
お腹が空いた。
遊びたい。
こっちを見てほしい。
そんな猫側の都合から人間を見ると、普段の何気ない出来事まで、なんだか可笑しく見えてきます。
この徹底したネコ目線が、本作の面白さです。
作者・うぐいす歌子さんの猫への深い観察眼と、それを絶妙な言葉に変える表現力も魅力的。
特に、猫の無言の要求を「圧」と捉えるセンスには脱帽しました。
猫を飼っている人なら、きっと自宅の猫を見ながら、
「今、この子は何を考えているんだろう?」
と想像したくなるはず。
そしてもしかすると、
こちらが猫を観察しているつもりでも、
実は猫のほうが、ずっと人間を観察しているのかもしれません。
『今日もネコ様の圧が強い』は、そんな猫と人間の立場を少しだけ逆転させて見せてくれる、楽しい猫漫画です。
さらに、2026年1月には続編の『今日もネコ様の圧が強い2』も発売されています。2巻では新たに子ネコ様も加わり、ネコ様たちの世界はさらに広がっています。
猫が好きな方はもちろん、猫漫画やコミックエッセイが好きな方にもおすすめ。
今日もネコ様の圧に負けながら、楽しく猫と暮らしましょう。