はじめに
日光東照宮へ行ってきました。
言わずと知れた、徳川家康公を祀る神社です。
実際に訪れてみると、まず圧倒されるのがその豪華絢爛な装飾。
一般的な神社に抱く「わびさび」や「静寂」といったイメージを、良い意味で裏切ってくれます。
色鮮やかな建築、金箔、そして細部まで施された数々の彫刻。
なかでも有名なのが、
- 三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)
- 眠り猫
- 陽明門
- 鳴龍
です。
ネコ好きのワタクシとしては、もちろん最大の目的は「眠り猫」。
実際に歩いてみると、それぞれの彫刻や建築には意味が込められており、単に「豪華な神社」として見るだけではもったいない場所でした。
この記事では、実際に日光東照宮を散策した様子を写真とともに紹介します。
これから初めて訪れる方の参考になれば幸いです。
今回の記事で紹介する場所を順番に巡ると、所要時間はおおむね2時間ほどを見ておくとよいでしょう。
日光東照宮の基本情報
日光東照宮を初めて訪れる方のために、基本情報をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 日光東照宮 |
| 所在地 | 栃木県日光市山内2301 |
| 所要時間 | 約2~3時間が目安 |
| 主な見どころ | 陽明門・三猿・眠り猫・奥宮・鳴龍など |
| 世界遺産 | 「日光の社寺」の構成資産 |
| おすすめの見方 | 建築だけでなく彫刻の意味にも注目 |
| 注意点 | 境内には階段が多いため、歩きやすい靴がおすすめ |
※拝観時間・拝観料などは変更される場合があります。訪問前に公式情報をご確認ください。
それでは、行ってみましょう。

なんと、東京スカイツリーと同じ高さとのこと。

「東照宮」の文字は一万円札の顔、渋沢栄一が書いたものです。

日光東照宮へ
まずは日光東照宮の入口へ。
日光東照宮は、世界遺産「日光の社寺」を構成する神社の一つです。
山の中に広がる境内へ足を踏み入れると、自然に囲まれた静かな雰囲気と、これから目にする豪華な建築とのギャップを感じます。
「東照宮」の文字が掲げられた入口を進み、いよいよ境内へ。
ここから数々の見どころを巡っていきます。
「東照大権現」の文字は小さく見えますが実は大人の背丈ほどの大きさがあります。

五重塔
境内に入ってまず目に入るのが、鮮やかな朱色が印象的な五重塔です。
五重塔の大きな特徴の一つが、塔の中心を貫く「心柱」。
心柱を上層から吊り下げるような構造になっており、地震による揺れを抑える工夫が施されています。
こうした伝統建築の知恵は、現代建築にも通じるものがあるといわれています。
見た目の美しさだけではなく、当時の建築技術にも注目して見ると、五重塔がさらに面白く感じられます。
チケットを見せて、いよいよ内部へ進みます。


見ざる・聞かざる・言わざる|三猿の物語
日光東照宮といえば、やはり「三猿」です。
実は、あまりにも有名な「見ざる・聞かざる・言わざる(三猿)」は、建物に彫られた全8面のストーリーの2場面目です。
実は、この三猿だけを見て終わりにするのは少しもったいありません。
三猿が彫られている神厩には、猿の一生を描いた彫刻が複数の面にわたって施されています。
それぞれの場面には意味が込められているとされており、順番に見ていくと、猿の一生を描いた物語として楽しめます。
「教訓」を読み解く楽しさがあります。
ぜひ、8面全てを鑑賞してください!
画像とともに見ていきましょう。
全体像

1 母と子

最初の場面には、母猿と子猿が描かれています。
母猿が子どもの将来を見つめているようにも見え、そばには枇杷の実が描かれています。
子どもの将来が実りあるものになるようにという、親の願いを表していると解釈されています。
2 幼少期

そして、こちらが有名な「見ざる・言わざる・聞かざる」。
幼少期には、悪いものを見たり、聞いたり、口にしたりせず、素直に成長していくべきだという教えとして知られています。
一方で、人の欠点を見ない、聞かない、言わないという処世術として解釈されることもあります。
有名な三猿ですが、こうして物語の一部として見ると、また違った印象を受けます。
3 青年期

大きな木の下に猿が座っています。
成長した猿が、これから親元を離れて「ひとり立ち」していく時期を表していると解釈されています。
これから始まる人生への期待と、少しの不安。
そんなものまで感じられるような場面です。
4 大人の時期

二匹の猿が上を向いています。
友とともに高い志を持ち、未来へ進んでいく姿として解釈されています。
人生において、支え合える友の存在が大切だというメッセージにも感じられます。
5 挫折、慰め、そして一歩

人生はいつも順調とは限りません。
ここでは、うなだれている猿と、その猿に寄り添うような猿が描かれています。
挫折したときに友に慰められ、そして再び前へ進もうとする姿として解釈されています。
人生には失敗や挫折もある。
それでも、誰かに支えられながら一歩を踏み出していく。
そんな人間らしい姿にも見えます。
6 恋愛

次は恋愛。
恋に悩む猿と、それとは知らず木に登る猿が描かれています。
人生の中では、恋愛もまた大きな出来事の一つ。
ここから物語は、次の段階へ進んでいきます。
7 結婚

恋愛の先にあるのが結婚です。
二匹の猿が、これから人生をともに歩んでいく姿が描かれています。
もちろん、結婚すればすべてが順風満帆というわけではありません。
人生にはさまざまな困難が待っています。
二人でそれを乗り越えていく、そんな人生の姿が表現されているように感じます。
8 新しい命

最後は、お腹の大きくなった猿。
新しい命を宿した姿として解釈されています。
そして、ここで物語は終わりではありません。
次はまた最初の場面へと戻ります。
親から子へ、そしてまた次の世代へ。
猿の一生を通して、人生の循環そのものが描かれているように感じられます。
三猿だけを見るのではなく、こうして一連の物語として眺めてみると、日光東照宮の彫刻が一気に面白くなります。
ワタクシはすっかり気に入ってしまい、三猿のストラップまで購入してしまいました(笑)。

象の彫刻
三猿を見たら、ぜひこちらにも注目してください。
象の彫刻です。
この象は、江戸時代の絵師・狩野探幽が描いた象の絵をもとにしたものとされています。
当時の日本では、実際の象を見たことがある人はほとんどいませんでした。
そのため、想像を交えながら描かれた象は、現代の私たちが知っている象とは少し違います。
耳の形や尻尾、体つきなどを見ていると、
「なんだかちょっと違うぞ(笑)」
と思ってしまいます。
でも、それがまた味わい深い。
実物そっくりに作ることだけが価値ではない、江戸時代ならではの想像力を感じられる彫刻です。


門をくぐって⋯国宝【陽明門】へ。

陽明門
門をくぐると、いよいよ日光東照宮のシンボルともいえる国宝「陽明門」が現れます。
これは……すごい。
まず圧倒されるのが、圧倒的な色彩と彫刻の密度です。
陽明門には、なんと約24万枚もの金箔が使われています。
ちなみに、金閣寺に使われている金箔は約20万枚。
つまり、陽明門は金箔の使用量だけを見ても、金閣寺を上回るほどの贅沢な装飾が施されているのです。
しかも、豪華なのは金箔だけではありません。
陽明門には、龍や鳳凰などの想像上の動物、古代中国に由来する故事や聖人、子どもたちの遊ぶ姿など、実にさまざまな題材が彫刻されています。
その数、なんと508。
約24万枚の金箔と508もの精緻な彫刻。
数字だけを見ても、陽明門に込められた贅沢さが伝わってきます。
実際に目の前に立つと、写真で見る以上に装飾の細かさに圧倒されます。
一つひとつの彫刻を見ていると、なかなか先に進めません(笑)。
陽明門が「日暮門(ひぐらしのもん)」と呼ばれるのも納得です。
一日中眺めていても飽きないほど美しいことから、この名で呼ばれています。
遠くから全体を眺める。
そして近づいて、一つひとつの彫刻を見る。
この両方を楽しむのがおすすめです。
龍や子どもの遊びにも注目
陽明門には、龍や鳳凰などの霊獣だけでなく、故事逸話や子どもの遊びなどを題材にした彫刻も数多く施されています。
単に豪華な装飾というだけではなく、一つひとつの彫刻に意味が込められています。
特に子どもたちが遊ぶ姿は、平和な世の中だからこそ見られる光景。
「これは何を表しているんだろう?」
そんなことを考えながら眺めてみると、さらに面白くなります。
陽明門の裏側
そして、陽明門は正面だけではありません。
裏側にもぜひ注目してください。
ここには有名な「逆柱」があります。
次の2枚の柱を見比べると、模様が一か所だけ逆になっているのが分かります。
これは、陽明門をあえて「未完成」の状態にしているとされるものです。
「建物は完成した瞬間から崩壊が始まる」という考え方から、完全な状態にしないことで災いを避けるという説があります。
豪華絢爛な陽明門に、あえて一つだけ逆向きの柱を置く。
完璧を目指すだけではなく、「未完」に価値を見いだす日本独特の美意識を感じさせる部分です。
これだけ豪華な陽明門だからこそ、こうした細かな部分にも注目してみてください。
次は本殿へ。
本殿内部は撮影禁止のため、ここでは写真の紹介は割愛します。
ぜひ現地で、陽明門の圧倒的な装飾美をじっくりと味わってみてください。


龍馬(りゅうめい): 陽明門の正面にいる白く金色に輝く目や爪を持つ霊獣。


子どもの遊ぶ様は、平和で安心して遊べる世の中を表現したものです。

天井にも立派な絵が。

陽明門の裏側です。

ここに「逆柱」があります。
次の2枚の柱の違いが分かりますか?


模様が逆に彫ってあります。
日本に古くからある「未完の美」という独特の感性によるものです。
完璧に整っているものはそのあと良くなることはなく、廃れていくしかないのです。
やり残しがあった方が今後より良くなっていくのですね。
敢えて模様を逆に彫ってやり直す余地を残しているんです。

次は本殿ですが、撮影禁止なので、割愛します。
しっかりお祈りしてくださいねー。

眠り猫|ネコ好きには外せない日光東照宮の名物
さて、いよいよ個人的なメインイベント。
「眠り猫」です。
ネコ好きとしては、ここを見ずに帰るわけにはいきません(笑)。
眠り猫は、東回廊にある小さな彫刻。
実際に見ると、想像していた以上に小さいのですが、その存在感は抜群です。
眠り猫は、寺社彫刻の名人として知られる左甚五郎の作と伝えられています。
ただし、左甚五郎は伝説的な人物として語られており、実在については確定していません。
眠り猫にはどんな意味がある?
眠り猫には、いくつかの解釈があります。
一つは、猫が眠っていられるほど平和な世の中を表しているというもの。
眠り猫の裏側には雀が彫られており、猫が穏やかに眠っているからこそ、雀も安心して遊べると解釈されます。
戦乱の時代が終わり、平和な時代になったことを象徴しているとも考えられています。
そしてもう一つ。
横から見ると、眠っているように見えながら、前足や体勢にはどこか緊張感があります。
「実はいつでも動き出せる姿勢で、徳川家康公を守っている」という解釈もあります。
正面から見ると「眠っている猫」。
横から見ると「今にも動き出しそうな猫」。
同じ彫刻なのに、見る角度によって印象が変わります。
ワタクシは完全に気に入ってしまい、眠り猫の置物までお土産に購入しました(笑)。
ネコ好きなら、ぜひ正面だけでなく横からも見てみてください。


家康公のお墓へ|奥宮(奥社)
日光東照宮の境内をさらに奥へ進むと、奥宮(奥社)があります。
ここには徳川家康公のお墓があります。
眠り猫の下をくぐり、そこから階段を上っていきます。
この階段がなかなか大変。
片道207段あるとされており、実際に歩いてみると、それなりに体力を使います。
「ちょっと疲れたな……」
と思いながらも、せっかくここまで来たので頑張って登ります。
階段を上るにつれて、境内の雰囲気も少しずつ変わっていきます。
周囲を木々に囲まれ、先ほどまでの豪華絢爛な建築とはまた違った、静かで引き締まった空気を感じます。
叶杉
奥宮には「叶杉」もあります。
古くから、杉の洞に向かって願い事をすると願いが叶うと信仰されてきたといわれています。
日光東照宮の中でも、特に静かで神聖な雰囲気を感じられる場所でした。
階段は少々キツイですが、時間に余裕があるなら、ぜひ奥宮まで足を延ばすことをおすすめします。



進んで行くと「叶杉」があります。
古くより杉にある洞穴に向かって祈ると、”願いが叶う”と信仰されてきたパワースポットです。


眠り猫の置物をお土産にゲット。

鳴龍|音で楽しむ日光東照宮
最後に紹介したいのが「鳴龍」です。
ここは撮影禁止のため、写真で紹介できないのが残念。
でも、日光東照宮へ行ったなら、ぜひ実際に体験してほしい場所です。
薬師堂の天井には、大きな龍の墨絵が描かれています。
その龍の頭の下で拍子木を打つと、音が反響して独特の響きが聞こえます。
龍の頭の下では音が響くのに、少し場所を変えると同じようには聞こえません。
実際に体験してみると、
「本当に違う!」
と驚きます。
目で見るだけではなく、耳で楽しむ日光東照宮。
こうした仕掛けがあるのも面白いところです。
撮影禁止なので写真はありませんが、ぜひ現地で体験してみてください。
日光東照宮の所要時間は?
今回、この記事で紹介した場所を中心に散策して、所要時間はおよそ2時間ほどでした。
ただし、写真を撮ったり、彫刻をじっくり見たり、御朱印やお土産を購入したりする場合は、もう少し時間に余裕を持ったほうがよいと思います。
特に奥宮まで行く場合は階段もあります。
「主要な見どころだけを見るなら約2時間」
「じっくり楽しむなら3時間程度」
くらいを目安にしておくと、余裕を持って散策できそうです。
ワタクシは、陽明門や三猿、眠り猫などを眺めながら歩いていたら、あっという間でした。
まとめ|一生に一度は見ておきたい、江戸時代の本気
日光東照宮。
一言で表すなら、
「一生に一度は見ておきたい、江戸時代の本気」
そんな場所でした。
豪華絢爛な陽明門。
人生の物語を描いた三猿。
ネコ好きにはたまらない眠り猫。
徳川家康公が眠る奥宮。
そして、実際に音を体験できる鳴龍。
見どころが多すぎて、2時間程度では足りないと感じるくらいです。
しかも、ただ豪華なだけではありません。
一つひとつの彫刻や建築に意味があり、それを知ったうえで見ると、同じ景色でもまったく違って見えてきます。
ワタクシが特に面白いと感じたのは、三猿の物語。
「見ざる・言わざる・聞かざる」だけなら知っていましたが、その前後にある猿の一生まで知ると、彫刻が単なる装飾ではなく、一つの物語として見えてきます。
そして、ネコ好きとしてはやっぱり「眠り猫」。
正面から見た穏やかな姿と、横から見た少し緊張感のある姿。
ぜひ両方の角度から見てみてください。
日光東照宮は、単に「有名な観光地だから行く」というだけでは、少しもったいない場所だと思います。
彫刻の意味を知り、建築の工夫を知り、実際に自分の目で見る。
そうすることで、豪華絢爛な建築の奥にある江戸時代の人々の思想や技術まで感じられます。
日光を訪れるなら、ぜひ時間を取ってゆっくり散策してみてください。
日光東照宮はこんな人におすすめ
日光東照宮は、こんな方に特におすすめです。
- 歴史や日本文化が好き
- 神社仏閣が好き
- 建築や彫刻を見るのが好き
- 江戸時代の文化に興味がある
- 三猿や眠り猫を実際に見てみたい
- 日光観光でどこへ行くか迷っている
- 世界遺産をじっくり見学したい
- 写真を撮りながら観光したい
特に、ただ建物を見るだけではなく「なぜこんな彫刻があるの?」と意味を考えながら歩くのが好きな方なら、かなり楽しめると思います。