エドワード・ゴーリーの絵本が好きです。
唯一無二の不思議な作家です。
今回は「不幸な子供」のご紹介です。
数あるゴーリー作品の中でも「救いのなさ」においてトップクラスであり、読者の心を静かに、かつ容赦なく抉ってくる傑作です。

エドワード・ゴーリーの特徴
- モノクロの緻密な線画:古い建築物や退廃的な風景などを繊細なモノクロームの線で表現します。
- 不条理で残酷な物語:理由なく子どもが死んでしまうなど、救いのない物語が多いです。
- 優雅なユーモア:不穏さのなかに独特のユーモアが含まれています。
- 詩的な文章:韻を踏んだ詩的な文章が添えられています。
- 古典的な雰囲気:重厚で退廃的な雰囲気です。
- 不思議な生き物:不気味かつ愛らしい謎の生き物が登場します。
ゴーリーの世界は、因果応報的なバランスがなくブラックです。
でも、そのなかに、可愛らしさや、ユーモラスな雰囲気も漂っています。
また、哲学的なテーマや風刺が多く含まれています。
この不思議な可笑しさ。
これがゴーリーの特徴なのです。
不幸な子供
個人的には「ギャシュリークラムのちびっ子たち」と並んで好きな作品です。
救いがありません。
救いのない物語好きなんですw
裕福な家庭で愛されて育った少女が、坂道を転がり落ちるように不幸のどん底へ沈んでいきます。
父が海外で死ぬ。
母が心労で死ぬ。
身寄りである叔父も死ぬ。
寄宿学校でいじめに遭い脱走。
男に誘拐され、暗い部屋で視力を落とす
実は、父は生きていた。
そして、最悪の結末へ⋯⋯
父が生きていたのでハッピーエンドに向かうのかと思いきや、その期待は粉々に打ち砕かれます。
見事に裏切ってくるのがさすがゴーリーです。
こうした物語には最後にわずかな希望や奇跡が用意されているものですが、ゴーリーはそれを許しません。
繊細で不穏なグラフィック
ゴーリー特有の細密な線画が、湿り気のある陰鬱な空気感を見事に表現しています。
特に後半、ソフィアの目がどんどん虚ろになり、人間性を失っていく様子は、「絶望」の表現として秀逸です。
ゴーリーの意図は
「無関心」という恐怖
この本の真の恐怖は、悪意よりも「周囲の無関心」にあります。
- 彼女を助けられたはずの人々が、なぜか彼女に気づかない。
- 運命が残酷なほどすれ違う。 この「ボタンの掛け違い」の描写が、読者に深い無力感を抱かせます。
「人生にはどうしようもない不条理が存在する」という冷徹な真実を、美しく、そしてどこかユーモアさえ感じさせる筆致で描いた芸術作品です
この物語が完全なフィクションだと言える世界だといいですね。
まとめ
「読後感は最悪。でも、その静かな衝撃がクセになる。」
そんな体験をしたい方には、これ以上ない一冊です。