エドワード・ゴーリー「ギャシュリークラムのちびっ子たち」【26の不幸と、一握りの美学】

エドワード・ゴーリーの絵本が好きです。

唯一無二の不思議な作家です。

「ギャシュリークラムのちびっ子たち」の感想を書きます。

単なる「怖い絵本」の枠を超えた、残酷さとエレガンスが同居する中毒性の高い傑作です。

ギャシュリークラムのちびっ子たち

エドワード・ゴーリーの特徴

  • モノクロの緻密な線画:古い建築物や退廃的な風景などを繊細なモノクロームの線で表現します。
  • 不条理で残酷な物語:理由なく子どもが死んでしまうなど、救いのない物語が多いです。
  • 優雅なユーモア:不穏さのなかに独特のユーモアが含まれています。
  • 詩的な文章:韻を踏んだ詩的な文章が添えられています。
  • 古典的な雰囲気:重厚で退廃的な雰囲気です。
  • 不思議な生き物:不気味かつ愛らしい謎の生き物が登場します。

ゴーリーの世界は、因果応報的なバランスがなくブラックです。

でも、そのなかに、可愛らしさや、ユーモラスな雰囲気も漂っています。

また、哲学的なテーマや風刺が多く含まれています。

この不思議な可笑しさ。

これがゴーリーの特徴なのです。

ギャシュリークラムのちびっ子たち

ゴーリーの代表作。

アルファベットの各文字をテーマに、理由なく子どもたちが次々悲惨な最期を迎えます。

理由なく世界の悪意が降りかかってくるのです。

本来、子供に読み聞かせるための教育的なフォーマット(ABC本)を使いながら、中身は救いようのない悲劇の連続

このギャップが、読者に奇妙な笑いと、背筋が凍るような感覚を同時に与えます。

ゴーリーの魅力全開です。

しかし、単に「怖い」「不気味」というメッセージを伝えているのではありません。

人生の儚さと同時に、今を大切にするということも説いているのです。

また、死はすぐそこにあるもので、自然なものとして、人生の一部として受け入れようという姿勢を説いているという風にも読めます。

これらを独特のユーモアを交え表現しているのですね。

そして、ゴーリーの真骨頂。

その圧倒的な描き込み。

  • 無機質な背景: 殺風景な邸宅、荒涼とした風景、冷たそうな壁。
  • 無表情な子供たち: 運命を受け入れたかのような、あるいは何が起きたか分かっていないような、虚無的な表情。

​血が飛び散るような直接的なスプラッター描写は一切ありません。

しかし、「静寂」の中に漂う死の気配が、どんなホラー映画よりも鮮烈に「終わり」を予感させます。

気になった方はぜひどうぞ。

-