本

『ニュクスの角灯』レビュー|世界ってなんて面白い。明治を生きる人々を描いた傑作歴史漫画

はじめに

華やかな西洋アンティーク。

異国から運ばれてくるガラス細工や時計、陶磁器、ランプ、ミシン、幻灯機。

文明開化という時代は、日本に「まだ見ぬ世界」という眩しい光をもたらしました。

しかし、その光の中にあるのは、美しい文化だけではありません。

歴史の大きな流れに翻弄される人々。

取り返しのつかない後悔を抱えた大人たち。

愛する人との別れ。

そして、それでも前を向いて生きようとする人々。

高浜寛による『ニュクスの角灯』は、1878年(明治11年)の長崎を舞台に、道具屋「蛮」で働き始めた少女・美世の成長を軸として、明治という激動の時代を生きる人々を描いた歴史漫画です。

西洋からやってきた最先端の品々に触れ、世界の広さを知っていく美世。

その一方で、彼女の周囲には、それぞれに過去や傷を抱えた大人たちがいます。

だからこそ、この作品は単なる「明治時代のアンティーク漫画」ではありません。

歴史漫画であり、美術や工芸を楽しめる漫画であり、人間ドラマであり、そして「世界を知ること」「生きること」について考えさせてくれる物語です。

読み終えたあと、私は美世の言葉がいつまでも心に残りました。

「ああ、世界ってなんて面白いんでしょうね。」

未知のものに出会う純粋な喜び。

知らないことを知る楽しさ。

人との出会いによって、自分の世界が少しずつ広がっていく感覚。

この一言には、『ニュクスの角灯』という作品の魅力が凝縮されているように思います。

美しいものに心を動かされ、人との出会いによって人生が変わっていく。

そんな豊かな時間を味わわせてくれる、大人にこそ読んでほしい傑作です。

基本情報

項目内容
作品名ニュクスの角灯
作者高浜寛
ジャンル歴史・時代/ヒューマンドラマ
舞台1878年(明治11年)の長崎を中心に、パリなど
主な舞台長崎・道具屋「蛮」、パリ
巻数全6巻・完結
受賞第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 優秀賞
おすすめ度★★★★★(5.0)

『ニュクスの角灯』は、2016年に第1巻が刊行され、全6巻で完結しています。

第21回文化庁メディア芸術祭では、マンガ部門の優秀賞を受賞。

審査では、明治の華やかな時代背景や事物を綿密な考証によって描き込んでいる点、そして「世界は広く、自分はまだ何も知らない」ことを希望として描いている点などが評価されています。

また、第24回手塚治虫文化賞ではマンガ大賞も受賞した作品として知られています。

主な登場人物

美世

本作の主人公。

西南戦争で両親を亡くした少女で、長崎の道具屋「蛮」で働くことになります。

美世には、触れた物の過去や未来の持ち主がわかるという不思議な力があります。

その力をきっかけに「蛮」の店主・小浦百年に見込まれ、店員として働くことになります。

最初は読み書きなども十分にできず、内気で世間知らずだった美世。

しかし、百年や「蛮」に集まる人々との出会いを通して、少しずつ知識を身につけ、世界を知っていきます。

西洋から届いたドレス、ミシン、眼鏡、幻灯機など、これまで見たこともなかった品々との出会いは、美世の世界を大きく広げていきます。

美世の魅力は、何よりもその好奇心です。

知らないものを恐れるのではなく、

「もっと知りたい」

という気持ちを持って世界へ踏み出していく。

その姿が、本作の大きな推進力になっています。

百年(ももとし)

長崎の道具屋「蛮」の店主。

外国人の父と日本人の母を持つ男性で、英語やフランス語などの語学に堪能。

海外の文化や商品に関する知識も豊富で、パリから最先端の商品を仕入れるだけでなく、日本の優れた美術工芸品を海外へ売ることも考えています。

飄々としていて、人当たりもよい人物です。

しかし、その表面だけを見ていると、本当の百年という人物はわかりません。

彼自身もまた、過去に大きな傷を抱えています。

そして物語が進むにつれて、その過去とジュディットとの関係が明らかになっていきます。

美世に世界の広さを教えてくれる一方で、百年自身もまた、自分の過去と向き合うことを迫られていく。

その複雑さが、とても魅力的な人物です。

黒川一真

起立工商会社に関わる人物で、パリで日本の美術工芸品を扱う百年のライバル的存在。

百年と同じくパリで日本文化を海外へ紹介する仕事に携わっています。

そして、ジュディットとの関係を通して、百年にとって恋愛面でも意識せざるを得ない存在になっていきます。

単純な「嫌なライバル」ではなく、自分自身の人生や価値観を抱えながら生きているところが面白い人物です。

ジュディット

百年が少年時代にフランスで出会った女性。

その後、パリで高級娼婦として生きることになります。

百年にとって特別な存在であり、物語の中でも非常に重要な人物です。

華やかなパリの世界に生きているように見えながら、彼女自身もまた、人生の中で大きな傷を抱えています。

百年との再会は、二人が過去に置き去りにしてきた時間を再び動かしていくことになります。

ジュディットの人生を追っていくと、本作が決して「明治の華やかな世界」だけを描いた作品ではないことがよくわかります。

大浦慶

実在した長崎の女性商人をモデルにした人物。

かつて日本茶の輸出で財を築いたものの、その後、煙草輸出をめぐる「遠山事件」に巻き込まれ、多額の負債を抱えて没落していきます。

ここは史実とも関係する重要な部分です。

大浦慶自身が詐欺を働いたというより、遠山一也による詐欺事件に巻き込まれ、保証人となったことで大きな負債を背負うことになりました。

作中の大浦慶は、そんな苦境にあっても商人としての才覚を失っていません。

百年の事業にも関わり、彼が日本の美術工芸品を海外へ売り出そうとする計画を支えます。

歴史上の実在人物とフィクションの人物が交差するところも、『ニュクスの角灯』の大きな魅力です。

ネタバレなしのあらすじ

1878年(明治11年)の長崎。

西南戦争で両親を亡くした少女・美世は、鍛冶屋町にある道具屋「蛮」で働くことになります。

店主は、外国人の血を引く小浦百年。

パリ万博から戻ってきた百年が店に並べているのは、これまで美世が見たこともない品々でした。

ドレス。

ミシン。

眼鏡。

蓄音機。

幻灯機。

チョコレート。

異国からやってきた品々は、美世にとって未知の世界そのものです。

そして美世には、触れた物の過去や未来の持ち主がわかるという不思議な力があります。

その力と持ち前の感性を生かしながら、「蛮」で働く美世。

やがて彼女は、百年や大浦慶、民平、そしてパリに生きる人々など、さまざまな人と出会います。

その出会いは、美世に世界の広さを教えていきます。

一方、彼女の周囲にいる大人たちも、それぞれに過去や後悔、愛する人との別れを抱えています。

長崎からパリへ。

明治という大きな変化の中で、さまざまな人の人生が交差していく。

『ニュクスの角灯』は、美世の成長を軸にしながら、歴史の波に翻弄される人々の人生を描いた物語です。

単なる「少女の成長物語」ではありません。

世界を知ることで人はどう変わるのか。

そして、人との出会いは人生に何を残すのか。

そんなことまで考えさせられる作品です。

歴史という大きな流れに翻弄されながら、それでも前を向いて生きよ


『ニュクスの角灯』が面白い5つの理由

① 洗練された画風と、作品世界を支える綿密な考証

まず驚かされるのが、美しい作画です。

西洋アンティーク。

ドレス。

ランプ。

ガラス製品。

家具。

美術工芸品。

そして明治期の長崎やパリの街並み。

登場するさまざまな「モノ」が、とても丁寧に描かれています。

しかし、本作の魅力は単なる「絵の美しさ」だけではありません。

文化庁メディア芸術祭の贈賞理由でも、明治の華やかな時代背景や事物について「綿密な考証」をもとに描き込まれている点が評価されています。

作中には、登場するアンティークについてのミニコラムも挟まれており、物語を読みながら自然と当時の文化や生活について知ることができます。

だから読んでいると、

「この時代に本当にこんなものがあったんだ」

という発見があります。

歴史を文章で学ぶのとは違い、そこに「人」がいる。

その時代に生きている人々が、実際にそれらの品を見て、触れて、驚いている。

その感覚を漫画として味わえるところが、本作の素晴らしさです。

② 美世の成長が本当に愛おしい

最初の美世は、まだ世界をほとんど知りません。

読み書きも十分にできず、人付き合いも得意ではない。

そんな少女が、百年のもとで働きながら少しずつ知識を身につけていきます。

外国の商品。

外国語。

美術。

工芸。

海外の文化。

そして、さまざまな価値観を持った人々。

美世は、知らないものに出会うたびに世界を広げていきます。

その姿を見ていると、読者まで一緒に成長しているような気持ちになります。

特に好きなのが、美世の「知りたい」という気持ちです。

未知のものを前にして、

「怖い」

ではなく、

「もっと知りたい」

と思える。

これは、実はとても大切なことなのではないでしょうか。

そして物語が進むにつれて、美世は単に「教えてもらう少女」ではなくなっていきます。

自分で考え、自分で選び、自分の人生を歩いていく女性へと変わっていく。

その成長が、本当に愛おしいのです。

③ 傷を抱えた大人たちの人生が深い

『ニュクスの角灯』は、美世の成長物語であると同時に、大人たちの物語でもあります。

百年。

ジュディット。

大浦慶。

黒川一真。

それぞれが、自分の人生の中で簡単には消せない過去を抱えています。

特に百年とジュディットの物語は、本作の大きな軸の一つです。

二人は若いころに出会い、互いに強く惹かれながらも、人生のすれ違いによって別れることになります。

そして年月を経て、再び出会う。

しかし、再会したときには、二人とももう昔の二人ではありません。

人生は、いつでもやり直せるわけではない。

どれだけ大切な人でも、タイミングを間違えれば取り戻せないものがある。

そんな残酷さが、本作にはあります。

だからこそ、物語に登場する大人たちの一人ひとりが、とても人間らしく感じられます。

④ 美しい世界だけを描かない誠実さ

『ニュクスの角灯』を「明治のハイカラな文化を楽しむ漫画」とだけ考えて読むと、途中から印象が大きく変わるかもしれません。

本作には、華やかな文化の裏側にある厳しい現実も描かれています。

戦争。

貧困。

差別。

病気。

失恋。

喪失。

そして、歴史によって人生を大きく変えられてしまう人々。

文化庁メディア芸術祭の贈賞理由でも、本作について「ロマンチックな雰囲気、華やかさ」を漂わせながら、読み進めると「苛酷な現実」が現れてくる作品だと評価されています。

ここが、私はとても好きです。

美しいものだけを描いて、

「昔はこんなに素敵だった」

と終わらせない。

華やかな時代にも、そこに生きる人々の苦しみがあった。

そして、歴史の流れは一人ひとりの人生を容赦なく変えてしまう。

それでも人は生きていく。

その現実を描いているからこそ、美世の「世界ってなんて面白い」という言葉が、ただ能天気な言葉には聞こえないのだと思います。

⑤ 「世界を知ること」の素晴らしさを教えてくれる

この作品を読んで一番強く感じたのは、

「知ることは、世界を広げることなのだ」

ということでした。

知らない文化に触れる。

知らない国について知る。

自分とは違う価値観を持つ人と出会う。

美世は、そうした経験を一つずつ積み重ねていきます。

最初は小さかった彼女の世界が、少しずつ広がっていく。

そして、その変化は読者にも伝わってきます。

「もっと世界を知りたい」

「もっと美術を見てみたい」

「もっと歴史を知りたい」

そんな気持ちにさせてくれる。

文化庁の審査でも、「世界は広く、自分はまだ何も知らない」ことが、脅威ではなく希望として描かれている点が本作の大きな魅力として評価されています。

私は、この作品の本当の魅力はそこにあると思っています。

世界は広い。

自分はまだ何も知らない。

でも、それは怖いことではない。

だからこそ、面白い。

『ニュクスの角灯』は、そんな前向きな気持ちを与えてくれる漫画です。

考察① 美世は誰と結ばれたのか

※ここからは作品終盤の内容に触れます。未読の方はご注意ください。

『ニュクスの角灯』のラストには、すべてを説明しきらない余白があります。

その中でも、私が気になったのが、

「美世は最終的に誰と人生を共にしたのか」

ということでした。

私は、作中に描かれた手紙やお墓の場面などを踏まえると、美世が人生を共に歩んだ相手は民平だったと考えてよいでしょう。

お墓はラストに近い部分で出てきます。

手紙は探してみてください。

探すのも面白いです。

美世にとって百年は、世界の扉を開いてくれた特別な人物でした。

彼に憧れ、恋心を抱いたことも、彼女の人生にとって大きな意味を持っています。

しかし、人生の伴侶として美世が選んだのが民平だったと考えると、私はとても納得できます。

民平は、美世より年下でありながら、彼女のそばにいる人物です。

華やかな世界へ連れていく人ではありません。

けれど、美世が世界を知り、さまざまな経験をしたあとにも、変わらず彼女の人生に寄り添っている。

それが、二人の関係の美しさなのではないでしょうか。

百年が「世界への扉」を開いてくれた人だとすれば、民平は「人生を共に歩く人」。

そんなふうに考えると、この結末にはとても深い意味があるように感じます。

派手な恋ではありません。

けれど、長い人生を支え合う愛情。

私は、この作品にはそんな愛の形が描かれているように感じました。

考察② 百年は最後、なぜ眼鏡をかけていたのか

ラストで美世を見送る百年の姿を見て、私は「眼鏡」という小道具にも意味があるように感じました。

もちろん、これは私自身の解釈です。

百年にとって眼鏡は、青い瞳を隠すという意味を持っています。

美世も、かつて百年に「どうして眼鏡をかけるのですか」と尋ねています。

つまり、眼鏡は百年の「見せたくないもの」を象徴するアイテムとして読むことができます。

そして私は、ラストではそれが「感情を隠す」という意味にも重なって見えました。

百年にとって、人生で最も大きな愛情を向けた女性がジュディットであることは、物語全体から伝わってきます。

しかし、美世との長い時間の中で、彼女が特別な存在になっていったとしても不思議ではありません。

それは、必ずしも恋愛感情だけではないでしょう。

「この子には幸せになってほしい」

「自分の知らない世界へ行ってほしい」

そんな願いだったのかもしれません。

だからこそ、百年は自分の感情を表に出さなかった。

もし自分の本心を見せれば、美世は旅立つことをためらってしまうかもしれない。

自分のために人生を変えてしまうかもしれない。

だから、最後まで自分の感情を隠して、美世を送り出した。

そう考えると、百年が眼鏡をかけている姿が、とても切なく見えてきます。

そして、彼が美世に贈る、

「幸せな人生を生きて。」

という言葉。

好きだから自分のそばにいてほしい。

ではなく、

好きだからこそ、あなたの人生を生きてほしい。

そんな大人の優しさにも感じられます。

この場面は、私にとって本作の中でも特に印象に残ったシーンです。

考察③ 『角灯(ランタン)』とは誰を照らす光だったのか

作品タイトルにもなっている「角灯(ランタン)」。

読み終えたあと、私はこのタイトルが物語全体のテーマを象徴しているように感じました。

角灯は、暗闇を照らすための灯りです。

では、この作品における「灯り」とは何なのでしょうか。

私は、それは人から人へ受け渡されていく知識や愛情、希望なのではないかと思っています。

まず、美世にとっての「灯り」は百年です。

百年は、美世に世界の広さを教えてくれました。

外国の文化。

美術。

工芸。

言葉。

そして、自分の知らない世界がどれほど広いのか。

百年との出会いによって、美世の人生は大きく動き始めます。

一方で、百年の人生を照らした人物として思い浮かぶのがジュディットです。

少年時代に出会ったジュディットとの記憶は、その後の百年の人生に長く影響を与えています。

そして、ジュディットの人生にとっても、美世との出会いには意味があったのではないでしょうか。

美世の純粋さやまっすぐな感性は、ジュディットにとって忘れていたものを思い出させるような存在だったように感じます。

つまり、

  • 美世を照らしたのは百年。
  • 百年の人生を照らした一人がジュディット。
  • ジュディットを照らした存在の一人が美世。

そんなふうに、人から人へ光が受け渡されているように私は感じました。

そして最後には、美世自身が誰かに世界の広さを伝える側になります。

そう考えると、

「角灯」とは、一人の英雄が持っている特別な光ではなく、人から人へ受け継がれていく光なのではないか。

そんな読み方ができるように思います。

世界を知るきっかけを与えてくれる人。

生きる勇気を与えてくれる人。

自分の人生を肯定してくれる人。

そうした人との出会いが、暗闇の中で小さな灯りになる。

そして、その灯りを受け取った人が、今度は別の誰かを照らしていく。

『ニュクスの角灯』というタイトルには、そんな「光の継承」という意味も込められているように、私は感じました。

まとめ

『ニュクスの角灯』は、美しい歴史漫画という言葉だけでは語り尽くせない作品です。

1878年(明治11年)の長崎から始まり、パリへと広がっていく物語。

そこには、西洋から伝わってきた華やかな文化や美術工芸品だけではなく、戦争、病気、差別、貧困、別れ、そして人生では取り戻すことのできない時間まで描かれています。

だからこそ、美世の言葉が強く心に残ります。

「ああ、世界ってなんて面白いんでしょうね。」

世界には、美しいものがあります。

同時に、目を背けたくなるような悲しい歴史もあります。

人との出会いがあれば、別れもあります。

思い通りにならない人生もあります。

それでも美世は、世界を知ることをやめません。

知らないものに出会い、驚き、学び、少しずつ自分の世界を広げていく。

その姿を見ていると、

「自分もまだ知らないことがたくさんある」

ということが、少し嬉しくなってきます。

世界は広い。

自分はまだ何も知らない。

だからこそ、面白い。

『ニュクスの角灯』は、そんな気持ちを思い出させてくれる漫画です。

歴史が好きな人はもちろん、美術やアンティークが好きな人、人間ドラマが好きな人にもおすすめです。

そして何より、

「人生には、まだ知らない面白いものがたくさんある」

と思いたい人に読んでほしい。

全6巻という長さもちょうどよく、物語としてきれいに完結しているのも嬉しいところです。

第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第24回手塚治虫文化賞マンガ大賞という評価も納得できる、私にとって大切な作品の一つです。

『ニュクスの角灯』比較表

比較項目評価
おすすめ度★★★★★
読みやすさ★★★★☆
感動★★★★★
歴史・文化★★★★★
人間ドラマ★★★★★
恋愛要素★★★★☆
考察の深さ★★★★★
作画の美しさ★★★★★
世界観★★★★★
巻数全6巻・完結

※評価は、実際に読んだ私自身の感想に基づく個人的な評価です。

こんな人におすすめ

  • 歴史を題材にした漫画が好きな人
  • 明治時代や文明開化に興味がある人
  • 長崎の歴史や文化に興味がある人
  • 西洋文化やアンティークが好きな人
  • 美術や工芸品を見るのが好きな人
  • 美しい作画をじっくり楽しみたい人
  • 登場人物の心情を丁寧に描いた作品が好きな人
  • 恋愛だけではなく、人間の人生そのものを描いた物語が読みたい人
  • 読後に作品について考察するのが好きな人
  • 『乙嫁語り』のような、世界観にじっくり浸れる漫画が好きな人
  • 「世界は広くて面白い」と前向きな気持ちになれる作品を読みたい人

あまりおすすめしない人

  • バトルやアクションを中心に楽しみたい人
  • 展開の速い漫画を読みたい人
  • 明快な恋愛漫画を期待している人
  • 歴史や文化を背景にした物語に興味がない人
  • 派手などんでん返しを最優先する人
  • ストーリーだけを追って短時間で読み終えたい人

ただし、歴史の知識がなくても楽しめる作品です。

作中で描かれる人間関係や美世の成長が物語の中心にあるので、「歴史漫画は難しそう」と思っている人にもおすすめできます。

むしろ、美世と一緒に少しずつ世界を知っていく感覚で読めるところが、本作の魅力だと思います。

心に残った名言集

「ああ、世界ってなんて面白いんでしょうね。」

本作を象徴する、美世の印象的な言葉。

未知の文化や新しいものに触れたときの、純粋な驚きと喜びが込められています。

「知ること」は、ときに自分の知らなかった現実を知ることでもあります。

それでも、美世は世界を知ることをやめません。

この言葉には、

「もっと知りたい」

という好奇心だけでなく、

「生きている世界そのものを楽しみたい」

という美世の姿勢が表れているように感じます。

だから私は、この言葉がとても好きです。

「幸せな人生を生きて。」

百年が美世へ贈る言葉。

この一言にも、百年という人物の優しさが凝縮されているように思います。

自分のそばにいてほしい。

自分を選んでほしい。

そんな願いではなく、相手のこれからの人生を願う。

大人になればなるほど、この言葉の重さがわかるような気がします。

FAQ

Q. 『ニュクスの角灯』は完結していますか?

はい。

『ニュクスの角灯』は全6巻で完結しています。

物語としてしっかり完結しているので、最初から最後まで一気に読みたい人にもおすすめです。

Q. 歴史に詳しくなくても楽しめますか?

もちろんです。

舞台は明治時代ですが、歴史の知識がなければ理解できない作品ではありません。

美世が知らない世界を少しずつ知っていく物語なので、読者も美世と一緒に当時の文化や人々の暮らしを知っていくことができます。

むしろ、歴史に詳しくないからこそ、美世と同じ目線で作品世界を楽しめると思います。

Q. 恋愛漫画としても楽しめますか?

恋愛要素はかなり重要です。

特に百年とジュディットの関係は、物語の大きな軸の一つ。

一方で、本作の中心は恋愛だけではありません。

美世の成長、人間同士のつながり、歴史の変化、仕事、文化、人生など、さまざまな要素が絡み合っています。

そのため、恋愛漫画というより、恋愛も含めた大きな人間ドラマとして読むのがおすすめです。

Q. 重たい内容ですか?

はい。

戦争や病気、貧困、差別、喪失など、決して軽くはないテーマが描かれます。

ただ、作品全体が暗いわけではありません。

むしろ、厳しい現実が描かれるからこそ、人との出会いや新しい世界を知る喜びが強く感じられます。

文化庁の審査でも、華やかな雰囲気の一方で苛酷な現実を描きながら、悲壮感に溺れず「世界は広く、自分はまだ何も知らない」ことを希望として描いている点が評価されています。

Q. 『ニュクスの角灯』の魅力を一言で表すなら?

私なら、

「世界を知ることは、生きることを面白くする。」

と表現します。

美しい文化。

歴史。

芸術。

人との出会い。

恋。

別れ。

喪失。

そのすべてを経験しながら、人は自分の世界を少しずつ広げていく。

『ニュクスの角灯』は、そんな人生の豊かさを教えてくれる作品です。

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『ニュクスの角灯』を読んでいると、作中に登場するアンティークや美術品、異国の文化を実際に見てみたくなります。

当ブログでは、『ニュクスの角灯』のように、美術・歴史・映画・漫画など、「本物に触れる喜び」を感じられる作品を紹介しています。

漫画を読んで終わりではなく、

「この作品に出てきたものを、実際に見てみたい」

「もっとこの時代について知りたい」

そんなふうに興味が広がっていくのも、読書の楽しみの一つだと思います。

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