漫画タコピーの原罪【割と救いのない物語】予想外の展開も秀逸

漫画【タコピーの原罪】

可愛らしい絵柄ですが、少女の置かれた救いのない環境を巧みに描写しています。

少々、鬱漫画です。

鬱レベル的には3/10ぐらいかな。

個人的には鬱漫画とか鬱映画は好物なので平気です。

初っ端から最後まで斜め上の展開。

斜め上も大好物なワタクシw

タコピーのとぼけた体型と少女たちの過酷な状況の対比は見ていて良い違和感。

ストーリー展開も秀逸。

「えっそうなる?」とか「うぉ、やってもーたな。」とか「あっ、そういうことか!」とか、展開が割と怒濤で楽しめます。

導入部分

ある日、ハッピー星から地球へきたタコピー。
公園の土管でおなかをすかせていると、主人公しずかと出会う。

明らかに、まりなからいじめを受けている様子。

しかし、タコピーはしずかの異常さに気付かない。

ポイント

読者としては、なぜこの異常さに気付かないのか、やや違和感を感じます。

おそらくタコピーは、「無垢な善意の象徴」として描かれています。彼(彼女)には悪意が存在しないのです。「言葉を話す赤ちゃん」というイメージでしょうか。

このように捉えると、タコピー的感覚がスッと入ってくると思います。

いじめを「ケンカ」だと認識し、「仲直り」すればいいと笑う。

ある日、ボロボロになったしずかが公園に現れる。

ここでも「ケンカした」と認識したタコピー。

あるタブーを破り「仲直りリボン」を渡す。

しずかの家に様子を見に行くと⋯⋯

動揺したタコピーは考える。どうすれば良かったのか。

しずかちゃんをもう一度笑わせるために時間を巻き戻す⋯⋯

1つ1つ問題を解決していく。

しかし、根本的解決にはならず、むしろ状況は悪化していく⋯

このあたり、鬱な展開だ⋯。

そして、悲劇が起こる。

どうしようもなくないか。

タコピーの純粋な善意は、逆に悲劇を引き起こす。

介入しても状況はよくならないのです。

では、どうすればよいのか。

自分で解決するしかないのか。

できるのか。いや、できない。

タコピーの結論も「わからない」

深いテーマです。

タコピーの「原罪」とは何か。

タコピーは優しいです。確かに優しい。

しかし、「無垢な優しさ」を押し付けてきます。

相手を理解しようとせずに。

そして、「無垢な優しさ」に悪意はありません。

つまり「悪意のない赤の他人」がタコピーなのです。

この「善意かつ無垢な優しさ」はときに何よりも鋭い武器となり心をえぐることを私たちは知っています。

私としては「原罪」はキリスト教の文脈を離れて「人間が生まれながらに持っている罪」と定義します。そして、タコピーの「善意かつ無垢な優しさ」こそが「原罪」だと考えます。

この「原罪」こそが悲劇を生み出しているのです。

※※ほかの方々の考察では「原罪」をキリスト教においてアダムとイブが犯した最初の罪とするものも多いようです。

感想

可愛らしい絵柄ながら、社会問題に鋭く切り込んだ作品。

毒親、虐待、ネグレクト、いじめ、貧困、格差、生活保護、コンプレックス⋯

目を背けがちな問題が盛りだくさんです。

どこに「しんどさ」を感じるかは人それぞれでしょう。

いやーよく2冊でこの物語をまとめたなと。

ストーリーとしては、2巻の怒濤かつ予想外の展開はお見事。

ぜひ、読んでみてください。

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